千葉市議会定例会の会議録を読んでいたら、非常に興味深い発言を見つけました。なんでも、花見川沿いに新たな公共交通機関としてロープウェイを導入するという案が発言されていたのです。
この発言は、2020年3月10日に行われた令和2年第1回千葉市議会定例会にて、市政に関する一般質問の中で「花見川について」質問をした、自由民主党千葉市議会議員の川村博章氏によるものです。
次に、花見川は、こてはし台団地や花見川団地、さつきが丘団地などの花見川区内の団地近傍を流れていることから、川沿いに新たな公共交通機関としてロープウエーを導入することはいかがでしょうか。
令和2年第1回千葉市議会定例会会議録(第5号)(PDF:744KB)より引用
先日、花見川に近接する美浜区の若葉住宅地区内の公益施設用地に海浜病院が移転する旨の発表がありましたが、海浜幕張駅から新海浜病院を経て、花見川区役所、花島公園へとロープウエーでつないでいけば、新病院へのアクセス確保はもちろんのこと、花見川区北部の陸の孤島解消にもなるかと思います。
地図で位置関係を見てみましょう。赤丸が発言にあった各地点、薄い赤のラインが花見川です。
写真でも何地点からか撮ってきました。
そして川村氏の質問に対して、都市局次長の松本真吾氏の返答が以下です。
現在、国土交通省では、交通政策審議会計画部会に小委員会を設置し、新たなモビリティーのあり方や幹線交通ネットワークのあり方などについての議論を開始したことを承知しており、その動向も注視しながら、地域公共交通網形成計画の策定に向けた検討の中で議論してまいりたいと考えております。
令和2年第1回千葉市議会定例会会議録(第5号)(PDF:744KB)より引用
地域公共交通網形成計画とあります。以前、千葉市が千葉都市モノレールの延伸中止を発表した際に、千葉市長に幕張新都心の鉄道網構想について質問した際にも、地域公共交通網形成計画の策定し、その中で検討するとの回答がありました。
交通関係の議論は、地域公共交通網形成計画がキーポイントとなるわけですね。
そこで千葉市地域公共交通活性化協議会のページを見てみましょう。2020年2月7日に開催された第2回千葉市地域公共交通活性化協議会の中の資料より、千葉市総合交通政策における公共交通の骨格的ネットワークのページが参考になるかと思います。
今回の件は、上記図のルート①の花見川区北部〜幕張新都心方面に相当すると考えますが、交通モードはこの時点では「バス」となっておりますね。(交通モードとは聞きなれない言葉ですが、交通様式ということでしょう)
ただ、この区間は「千葉市総合交通政策における公共交通の骨格的ネットワーク」となっているように、千葉市も重要な区間だと認識していると解釈できますので、この区間の交通政策を考えることは特段突拍子もないものでもなく、骨格路線の中で新たにロープウェイという手段があがったということなのだと思います。
今後、地域公共交通網形成計画の策定に向けた検討の中で議論していくとのことで、注視していきたいと思います。
今回の千葉市議会定例会の映像がこちらで確認できます。52:17〜がロープウェイ関係の答弁です。「ロープウェイ」と発言してから、周辺が少し和やかになっているように見えます。
都市型ロープウェイということになるのでしょうが、神奈川県横浜市では「YOKOHAMA AIR CABIN (仮称)」として、2021年3月の開業を目指し、桜木町駅前〜新港ふ頭までの約630mの区間でロープウェイが建設中ですが、横浜のロープウェイはどちらかというと観光目的に近いですね。
参考:桜木町駅前と新港ふ頭とを結ぶロープウェイ事業の実施に向けた協定を締結
今回発言にあった、海浜幕張〜花島公園間の花見川上を沿わせた距離をざっくり測ってみると、ざっと8km以上はあります。市民の足として提案されたわけでありますが、確かに花見川区北部はササっとは行きにくい場所であり、それを花見川を通じたロープウェイでええぃと海浜幕張まで繋げてしまえというアイディアは面白いですね。
輸送能力も、ロープウェイということであまり期待できないのかなと思って調べてみたところ、3000人/時ほどの輸送能力はあるそうで(方式により異なるそう)、海浜幕張駅〜幕張本郷駅間を走る連接バスの輸送能力と同等はあることがわかります。そしてロープウェイは案外風にも強いそうです。
この「花見川ロープウェイ」(勝手に命名)。はたして実現可能なのでしょうか。千葉市は昨年2019年9月にモノレールの延伸を中止したばかりで、極めて慎重な議論が必要ですが、個人的には、新鮮さもあり、案としてあがっただけで終わらせるのではなく、今後も継続して話題にあがるようになるといいなと思います。川村博章氏も、以下のように質問を締めています。
ロープウエーは建設コストが安いだけでなく、定時性、速達性にすぐれ、時刻表が要らず、運転手も要らない超少子高齢化社会に適した交通機関であることからも、太陽光発電の活用も可能な環境に優しい面もありますので、ぜひ導入に向け真剣に御検討くださるよう要望します。
令和2年第1回千葉市議会定例会会議録(第5号)(PDF:744KB)より引用
この「花見川ロープウェイ」、ちょっと久々にワクワクしました。賛否あるかと思いますが、こういうことの提案、議論の繰り返しが街づくりなんだなと改めて実感できました。
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